総務省平成25年度「先進的通信アプリケーション開発推進事業」
交通機関を活用したコンテンツ配信システムの開発
フェーズⅠ: 早稲田大学、電気通信大学、富士通研究所、京浜急行電鉄
フェーズⅡ:こちら
- 開発の目的
モバイルトラヒックの爆発的な増加に対応するために、列車に代表される交通機関を通信プラットフォーム化すると共に、新世代のネットワーク技術として注目を集めるCCN(Content Centric Networking)アーキテクチャを活用し、モビリティを活用した効率的なコンテンツ先回り配信アプリケーションと、輻輳地域・災害地域のトラヒックを収集して非輻輳地域・非災害地域に配送するコンテンツオフローディングアプリケーションの開発を進めています。
- 開発の概要
モバイルトラヒックの爆発的な増加に対応するために、列車のモビリティを活用した効率的なコンテンツ先回り配信アプリケーション(図1)と、輻輳地域・災害地域のトラヒックを収集して非輻輳地域・非災害地域に配送するオフローディングアプリケーション(図2)の開発を進めています。平成25年度の具体的な活動項目として、駅と列車内にサーバを配するアーキテクチャの検討、セッション制御とコンテンツ配信を考慮した二通りのプロトコル設計(IP/CCNハイブリッドとCCNネイティブ)、通信品質とユーザ数の変化に適応する分割配信スケジューリング(スマートスケジューラ)、ndnSIMを用いたシミュレーション評価、ローカルなCCNテストベッドの構築と徒歩による移動配信実験、試験線における実車両を用いたフィールド実験などを実施し、開発アプリケーションの有効性を実証しました。図3には、フィールド実験の結果としての、セルラー方式との比較を示します。この動画から明らかなように、セルラーで映像配信を行う場合は動画のフリーズやコマ落ちが頻繁に起こるのに対し、先回り方式ではローカルに再生した場合と同等のスムーズな再生が実現できていることがわかります。今後は営業線におけるフィールド実験やJGN-Xを用いたテストベッド実験を進め、数年後の実用化を目指します。
図1: 先回り配信
図2: オフローディング
図3: 試験線を用いたフィールド実験
図4: 方式比較(左上:セルラー移動時、左下:セルラー静止時、右上:先回り、右下:ローカル再生)
- 平成25年度開発成果リスト
[1] 佐藤拓朗、朴容震、津田俊隆、後藤滋樹、田中良明、亀山渉、嶋本薫、甲藤二郎、市野将嗣、” 交通機関を利用したコンテンツ配信システム”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[2] 亀山渉 津田俊隆 甲藤二郎、”CCNとIPのハイブリッド方式による交通機関を利用した先回りコンテンツ配信方式”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[3] Daiki Kaneko, Zhiwei Yan, Yong-Jin Park, “Proactive Content Scheduling and Delivery in CCN-based Train Information Network”, 電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[4] 甲藤二郎、金井謙治、津田俊隆、亀山渉、”交通機関を利用したコンテンツ配信システムにおける先回り配信スケジューリング”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[5] 金井謙治、甲藤二郎、津田俊隆、亀山渉、”先回り配信スケジューリングの特性評価と複数チャネル拡張”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[6] 金井謙治、甲藤二郎、津田俊隆、亀山渉、”先回り配信スケジューリングの特性評価と複数チャネル拡張”、電子情報通信学会ネットワークシステム研究会, Mar.2014.
[7] 泉川, 甲藤、“RoCNet: 蓄積運搬転送パラダイムに基づく空間的なセルラトラヒックオフロード”、電子情報通信学会論文誌Vol.J97-D No.2 pp.369-380, Mar.2014.
[8] 木皿寛人、甲藤二郎、津田俊隆、亀山渉、”交通機関を利用したコンテンツ配信システムのシミュレーション評価”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[9] 矢守恭子、田中良明、”交通機関を利用した先回りコンテンツ配信のQoE”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[10] Zhu Li, Wen Zheng, Wu Chao, Zhao Zhengge, Shen Yang, Yu Na and Takuro Sato, “Contents hit rate evaluation of proactive cashing utilizing transport systems based on CCN”, 電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[11] Wu Chao, Zhao Zhengge, Wen Zheng, Zhu Li, Shen Yang, Yu Na and Takuro Sato, “PCC: Against Cache Polution in CCN”, 電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[12] Satoshi Sakai, Sho Harada, Zhiwei Yan, Siran Zhang, Yong-Jin Park and Heedong Kim, ”Distributed Caching Scheme over CCN”, 電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[13] 趙鄭戈、文鄭、朱力、呉超、沈揚、佐藤拓朗、”CCN における効率的VOD サービスの検討”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[14] Zheng Wen, Li Zhu, Zhengge Zhao and Takuro Sato, “CCN BASED DISASTER INFORMATION SERVICE”,電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[15] 潘珍?、斎藤恵、劉江、嶋本薫、”Energy-sensitive Handoff Scheme Employing RF Fingerprint For Cell Sizing Based Heterogeneous Cellular Networks”, 電子情報通信学会無線通信システム研究会, Mar.2014.
[16] Zhenni Pan, Megumi, Saitou, Jiang Liu, Shigeru Shimamoto, “Neuron Control-Based Power Adjustment Scheme for Sleep Two-tier Cellular Networks”, IEEE WCNC 2014, Apr.2014.
[17] 市野正嗣、甲藤二郎、”交通機関を利用したコンテンツ配信システムのための移動状態識別に関する検討”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[18] 武藤健史、甲藤二郎、津田俊隆、亀山渉、”ICNテストベッドにおけるモビリティサポート”、電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
[19] Hu Yao and Shigeki Goto, “Smart Name-based Routing in ICN”, 電子情報通信学会総合大会, Mar.2014.
および、特許3件出願中。